A Life with a glass of wine

慌ただしい毎日でも1杯のワインがあれば。人生を豊かにしてくれるワインと日々の記録。

三浦雄一郎さん「諦めなければ夢は叶う」

有名な三浦雄一郎さんの講演を聞いてきました。
三浦雄一郎さんは現在84歳。
80歳で世界最高齢エベレスト登頂を果たした方です。

 
子供の頃は体も弱く学校でも落ちこぼれだった三浦さん。
肋膜炎で約1年間の入院生活を送りその病み上がりに、当時大学山岳スキー部の指導をしていた父親に連れられ、大学生の合宿に混じって冬の蔵王で過ごした。
戦前だから今のように気軽に行けるルートもない時代。
そんな冬の蔵王を踏破し、スキーを楽しんだこと。
それが落ちこぼれで体も弱かった三浦さんを支える自信になった。
 
その後、スキーの選手としてオリンピックを目指すも断念。
北海道大学獣医学部で助手として勤務していたが、どうしても大好きなスキーや山で
世界を見たい、世界一を目指したい、との思いが強く、周囲が引き止めるのを振り切ってプロスキーヤーに転向し、世界プロスキー選手権で世界ランク8位に。
イタリアのスキー大会では当時世界最高速度を記録。
その後も世界中の山からのスキー滑降を続けた。
 
60歳となった時、三浦さんは引退することにした。
同年代の植村直己さんを始め、日本有数の登山家、冒険家は皆遭難し
亡くなっていったが、自分はなぜか運良く生き残ることができた。
これからは引退してゆっくりしよう。
 
しかしもともと飲むことも食べることも大好きだった三浦さん。
引退後も変わらず飲んでは食べて。
にもかかわらず、運動量はガクンと減り、体操をしたり軽くウォーキングに行く程度。
するとみるみるメタボになった。
身長164cmなのに体重は90kg近く。
高血圧、高脂血症不整脈、慢性腎臓病。
医師に「1年のうちに透析も必要になるかもしれない」とまで言われた。
 
一方その頃、父の三浦敬三さんは90歳代。
99歳で4000m級のモンブランの斜面をスキーで滑走するのだ、と
毎日トレーニングを欠かさずやっていた。
90歳を超えて3回骨折していたが、それを乗り越えていた。
 
その父を見て、三浦さんも息子の自分がこんなことをしている場合ではないと発奮。
65歳の時にエベレスト登頂するという目標を立てた。
しかし、最初は自宅近くの藻岩山、500m強を登るのにも脂汗、足がつり、息も絶え絶え。
メタボを治して、足腰も鍛え直して・・・気が遠くなる思いだった。
 
けれど地道に少しずつ。
両足におもりをつけ、ザックにおもりを入れ背負って歩くことで鍛え直した。
 
そして、70歳、75歳とエベレスト登頂に成功。
 
しかし76歳時には大腿骨骨折と骨盤骨折を生じ、手術とリハビリを受けた。
そして不整脈に対する数回の手術。
 
それらを乗り越えて80歳で3度目のエベレスト登頂を果たした。
 
三浦さん曰く、成功のコツは年寄りの半日仕事。
朝から半日登っては昼食をとり昼寝して宿泊。
通常よりずっと遅くても、このペースが良かった。
また、チームドクターを含め、多くのサポートチームに支えてもらったから成功した。

 
最後に三浦さんは、来年はチベットのチョオユー、世界で6番目の標高である8000m級の山からスキー滑降するつもりだとおっしゃり、講演会場には若干苦笑ともどよめきとも言えないざわつきが起こりました。
 
 
 
以下、講演を聞いて感じたこと。  
 
人それぞれ体質の違いはあるので、みんなが三浦さんと同じことをやって
同じようになるわけではないけれど、
それでも高血圧、不整脈、腎障害がありつつエベレスト登頂達成は驚異的。
 
確かにこの人の記録だけ見ると雲の上の人と感じるけれど、
その陰には挫折も多かったよう。
けれど誰にも頼まれていないのにエベレストに3回も登った。
普通には不可能だろうと思われるようなことを可能にした。
 
そんな、ねえ・・高齢の病気持ちでエベレストに行くなんて、命を縮めること、
と思ってしまいがちだけど、
本当にしたいことを諦めたまま、たかだか数年、数十年生きながらえることに
なんの意味があるんだろう。
この人は、高血圧だろうが不整脈だろうが骨折しようが、したいことをしている。
 
こんなことを言うのは失礼かもしれないけれど
でも生身の人間なんだから間違いなく
この人もいつかどこかでなんらかの形で亡くなるだろう。
いくら医学が発達して平均寿命が伸びても、個々の人間の命の終わりは
人為的に操作できるものではない。
寿命は天が決めている。
 
迷っている暇なんてない。
私の人生だっていつ終わるかわからないけれど、
自分の心に叶うこと、やりたいことに集中して一直線に向かう。
大事なことは自分はこれがやりたいんだという情熱。
そしてそのためにどうすればやれるのか?ということだけにフォーカスすること。
 
あちこちに似たようなことは書いてあるし、私も読んで頭でわかった気になっていた
けれど、直接お話を聞いてその人のエネルギーを感じることはまた全然違いますね。
 
三浦さんのtake home message。
「諦めなければ夢は叶う」
力強い言葉です。