A Life with a glass of wine

慌ただしい毎日でも1杯のワインがあれば。人生を豊かにしてくれるワインと日々の記録。

条件が変わるとワインの味はがらっと変わる

 先日始まったブルゴーニュクラスでの講義後、クラス会にも参加してきました。
クラスでテイスティングしたワインをそのままレストランに持ち込んで、改めて料理と共にいただきます。
 このシステムを知ったとき最初は「えっ、また同じものを飲むの?」
と思いましたが、実際にやってみてその理由がよくわかりました。
やはり無機質な教室内でテイスティングとして飲むのと、お店の素敵な雰囲気の中、素敵な料理とともに飲むのでは全く香りも味わいも異なります。
 お店ではワインごとにグラスを多少アレンジしたり、デキャンタしたりするのでまた変わってくるのもあるのでしょうが、こんなにワインって飲み方によって変わるのか・・と驚きました。
 せっかく飲むならその持てるポテンシャルを存分に発揮させないとそのワインも報われませんよね。これまでどれだけのワインをその実力を発揮させないまま飲んできたことか・・。成仏できないワイン達が泣いている気がします(汗)
 
まずは先生のセラーから持ち込んでいただいたシャンパーニュ(注1)2種類。
 
一つ目はフレッシュで軽やか、暑い季節に美味しく飲めそうな印象。
二つ目はブリオッシュの香りがありまろやか、ふくよか、コクのある味わい。
 
なんとこれは同じワインでも抜栓のタイミング違いでした。
一つ目は飲む直前の抜栓。
二つ目は5時間前に抜栓し、シャンパーニュストッパーで栓をしておいたもの。
 
あとは全く同じシャンパーニュ、「アンドレクルエ アンジュール ド 1911(ミルヌフサンオンズ)NV」
 
しかしまるで違う香りと味わい!
私は後者が好きでしたが、好みは人それぞれ。
どんなシチュエーションで飲むかにもよるかもしれません。
 
私はシャンパーニュは飲む直前に抜栓するものだと思い込んでいましたが、
先生曰く、目安として5年前のヴィンテージ(注2)なら5時間前、20年前のヴィンテージなら20時間前に抜栓した方が香り、味わいとも開くので良い、とのこと。
なるほど、勉強になります。
 
その後、クラスで飲んだワイン数種に加え、先生がプライベートのセラーから持参していただいた白2種の違いについてまたもや考える。
似ている、似ているけど違う・・。むむー。
 
これは同じワインの輸入経路違いでした。
一つはハンドキャリーでしたが、こちらの方がふくよかで果実味があると感じました。
輸入の過程でどのような管理をされているかによって大きく変わりはあるというけれど、こんなに違うんですね。
インポーターの管理とこだわりがいかに重要かが改めてわかりました。
 
しかし困るのは、時間が経つにつれ酔いが回ってくるのでしっかり感覚を研ぎ澄ませて頭を使ってテイスティングするのが困難になってくること。
美味しくいいワインばかりなので授業中でも吐器に出すのももったいなく(笑)、しっかり飲んでしまいましたから・・。

 

それにしても先生はこのように引っ掛け(サプライズ?)がお好きです(笑)
毎回まんまと騙されます。
            
ワインはこちら。
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銘柄:アンドレ・クルエ アンジュール ド 1911(ミルヌフサンオンズ)
   NV注3)
品種:ピノ・ノワール(注4)100%
生産者:ドメーヌ アンドレ・クルエ  
国・産地:フランス、シャンパーニュ地方
     モンターニュ・ド・ランス地区(注5、ブジー村
収穫年:NV
 1999年以前に収穫したブドウのみで造られたシャンパーニュで、シャンパーニュにとって20世紀最高の当たり年だった1911年に敬意を評して名前をつけられたんだそう。
 

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銘柄:シャサーニュモンラッシェ プルミエクリュ(注6) モルジョ(注7) 
品種:シャルドネ(注8)100%
生産者:ドメーヌ ラモネ
国・産地:フランス ブルゴーニュ地方 コートドボーヌ地区 
     シャサーニュモンラッシェ村
収穫年:2013
 
しかしモルジョ、といえば受験の時にシャサーニュモンラッシェのプルミエクリュを覚えるための語呂合わせ
「シャサーニュでは、1つずつ丸いトロを、ジャンさんがしゃがんで盛るじょ」
のイメージしかない・・。
なぜかこの語呂はすごく映像としてリアルに浮かんでくるのです。
フランス人のジャンさんが丸いトロの寿司をしゃがんでちまちまとお皿に盛っている姿が・・。
 
注釈
注1 シャンパーニュ:フランスのシャンパーニュ地方産のスパークリングワイン
注2 ヴィンテージ:ワインの生産年
注3 NV(Non vintage):シャンパーニュは一般的に品質保持やそのメーカーのスタイルの維持のために複数年のブドウから造られたワインを調合して造られる。そのような造り方のものは収穫年の表記の代わりにNVと記載される。
注4 ピノ・ノワール:黒ブドウの品種の一つ。シャンパーニュに使用されると主にそのワインにボディや力強さを与えるといわれる。
注5 モンターニュ・ド・ランス地区:シャンパーニュ地方の中で代表的な生産地区の一つ。この地区のシャンパーニュピノ・ノワール主体で造られることが多い。世界遺産のランス大聖堂(歴代フランス王の戴冠式が行われた)やレオナールフジタ(藤田嗣治)のチャペル・フジタがある街、ランス周辺。
注6 プルミエクリュ:一級畑。特級畑につぐ良い畑とされる。
注7 モルジョ:畑の名前。シャサーニュモンラッシェ村にあるプルミエクリュの一つ。
注8 シャルドネ:白ブドウの品種の一つ。コクがある味わい。
 

ブルゴーニュワインのお勉強

この4月から半年間、ブルゴーニュワインについての講座を受けることにしました。
毎月1回、約2時間半の講義です。
これまで2年間ワインスクールに通っていますが、エキスパート受験も含め、総合的なクラスが主だったので、これから分野を絞ってさらに深い話を聴けるのが楽しみです。
 
私がワインの美味しさに目覚めるきっかけは大学生の時にワイン好きの叔母に飲ませてもらったブルゴーニュのワインでした。
残念ながら今となっては銘柄ははっきり覚えていませが、初めて飲んだ時の衝撃を今でも覚えています。
「何、この香り!!何この味!!」
後ろにひっくり返るんじゃないかと思うほどの衝撃・・
今まで飲んだことのない飲み物でした。
 
外観の美しさ、香りの華やかさ、複雑さ、絹のような舌触り、喉に流れていく感覚、果実感があっても決して甘くはなく、ふくよかで飲み込んだ後もいつまでも口の中に余韻が残っている・・。
今だからこういうところに驚いたのだとあの時を思い出して言葉にできますが、その時にはどこにどんなふうに驚いたか全く言語化できませんでした。
ただひたすら、世の中にはこんなに美味しいお酒があるのか・・天国とはまさにこのこと、と感動しきりでした。
 
その後1年に1〜2回、叔母のところに遊びに行くたびにワインを飲ませてもらい(残っている写真を見るとグランクリュも多かった)、毎回のけぞるような衝撃と感動を繰り返していたのですが、だんだん「美味しい!」としか言えないもどかしさを感じるようになっていきました。
こんなに感動しているのにただ「いい香り、美味しい」としか言えない・・・。
毎回違う味わい、違う香りなのに・・。
 
ワインスクールに通うきっかけの一つはその美味しさ、素晴らしさを表現できないもどかしさだったと思います。
どうやったら再現性を持ってあの美味しいワインに自分自身の力で辿り着けるのか?
そのような思いで、仕事がひと区切りついた時からワインスクールに通いだしました。
 
そんな、私がワインの世界に引き込まれる発端となったブルゴーニュワイン。
プルミエクリュ、グランクリュや有名生産者などをそうそう簡単にテイスティングできるものではない、という切ないジレンマはありつつも、この半年、みっちり勉強したいと思います!

ひと口を大切にする 五感を働かせる

 自分が口にするものを大切にすることは、自分を大切にすること。

 

見て(視覚)

香って(嗅覚)

味わって(味覚・口の中の触覚)

時には聴いて(聴覚)

 

そのように五感を働かせて食事お酒を楽しむことは人生の至福の一つ。

 

プロの料理は当然素晴らしく、五感を刺激され、時には芸術ですらあります。

けれどそれはプロのお店に行かなければ感じられないものではありません。

 

そして、ゆっくり丁寧に料理をする暇がなければ感じられないものでもありません。

 

仕事で帰宅が遅くなったとき、たとえ作り置きや出来合いのものでも、お気に入りの器に盛り付けて好きなお酒の1杯でもあれば、五感を働かせてそのひと口を大切にできるような気がします。

慌ただしい毎日の中、少しでもそのような時間が持てれば本当に幸せ

 

そのような思いから、料理ワインもまだまだひよっこですが、果敢に、そしてマイペースにこつこつと追求していくつもりです。

忙しいとつい忘れがちになる初心だけど、いつでも帰ってこれるようにここに記しておこうと思います。

日々のワイン記録 3 サヴィニ・レ・ボーヌ エマニュエル・ルジェ 2013

先週末、神戸に遊びに行き、久々の友人たちと食事しました。
皆揃いも揃ってお酒も食事も大好きな人たち。
数えてみたら2日間で飲んだワインは15銘柄、日本酒は8銘柄・・。
いやいや、よく飲みました。
 
その中でも記憶に残るものを一つ。
場の雰囲気もあるのでメモを取るのは控えたのでざっくりとした記録ですが。
 
銘柄:サヴィニ・レ・ボーヌ  (注1)
生産者:エマニュエル・ルジェ(注2) 
生産年:2013
品種:ピノ・ノワール(注3)100%
 
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抜栓直後はまだかたい印象。
1時間程度で徐々に開く。
バラ、熟したラズベリーなどチャーミングな印象。
シナモンなど甘いスパイスの香りも感じられる。
ピュアで豊かな果実味。
タンニンは滑らかで穏やか、バランス良くエレガント。
華やかで透明感のあるワインでした。
 
ピュアな味わいなのはエマニュエル・ルジェ除梗100%で造っているのもあるのでしょうか。
 
ワインは視覚的に美しいところも好きです。
見て(視覚)、香り(嗅覚)、味わい(味覚、触覚)・・と五感を働かせて楽しむことができるところがワインの魅力の一つですよね。
 
注釈
注1 サヴィニ・レ・ボーヌ:フランス、ブルゴーニュ地方のワイン銘醸地、コート・ド・ボーヌ地区にある村名。
注2 エマニュエル・ルジェ:「ブルゴーニュの神様」とも言われる生産者アンリ・ジャイエの甥で後継者の一人
注3 ピノ・ノワール:黒ぶどうの品種名。色が淡く、渋みが弱く、酸が高めであり、しなやかで芯のある官能的なワインができると言われる。
 
注4 除梗:ワインの醸造時、収穫したブドウを果粒と果粒がついている小さな枝に分けること(梗:ブドウの果粒がついている小さな枝)。梗の持つ不快な香りや味がワインにつくことを防ぐ目的で行われる。ピュアな味わいになりやすい。除梗100%とは完全に果粒だけでそのワインを造ったということ。

 

日々のワイン記録 2 ニュイ・サン・ジョルジュ クロ・ド・ラ・マレシャル ジャック・フレデリック・ミュニエ2014

日曜日の午後、銀座に用事があったついでにふらりと銀座君嶋屋へ。
お目当ては立ち飲み。
狭い店内はいつもお客さんが多く賑わっています。
立ち飲みしていたり、何かお酒を探していたり。
 
入ってみると真っ先に目に入るこのワイン。
立ち飲みで飲めるにしてはなんて贅沢なワイン!貴重な機会です。
喜び勇んでいただきます!
 
銘柄:ニュイ・サン・ジョルジュ プルミエ・クリュ クロ・ド・ラ・マレシャル
生産年:2014
生産者:ジャック・フレデリック・ミュニエ
価格:グラス1杯1700円 ボトル12000円前後
 
 

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外観
やや濃い赤
 
香り
香り高く、良く熟したブルーベリーの印象。
赤い花、クローブなどのスパイス、血液や鉄のような香りも。
 
味わい
華やかで程よい厚みがあるがエレガント。
クリーンでピュアな印象、果実味豊かで、タンニンが強めでやや男性的な印象もあるがとても滑らかなタンニン。辛口、酸は中程度。
余韻は長く、タンニン、アルコール、果実、オークがバランスの良い印象。
ミディアムフルボディ。
 
注釈:
注1 ニュイサンジョルジュ:フランス、ブルゴーニュ地方のワイン銘醸地であるコートドニュイ地区最南端の村。
注2 プルミエクリュ:一級畑(フランスのワイン法ではブルゴーニュ地方で特級畑(グランクリュ)に次ぐ良い畑とされる)
注3 クロドラマレシャル:ニュイサンジョルジュ村にあるプルミエクリュの一つ。クロは「石垣」の意味。ぶどう畑が石垣に囲まれていることに由来。 
注4 ジャック・フレデリック・ミュニエ:生産者名。
注5 男性的:酸とタンニンの要素がしっかりしているものに対する表現
注6 ボディ:果実味+アルコール この二つが強いとフルボディ
 
曇り空の花冷えなお天気だったけれど、本当に美味しくて幸せなひと時。
グラス1杯としては比較的お高めではあるけれど、ボトルの値段を考えると良心的です。
ミュニエも一度飲んでみたかったとても人気のある生産者さん。
 
家に帰って調べてみるとニュイサンジョルジュのワインの特徴は
「深い暗赤色をまとい、桜桃、カシス、毛皮、トリュフ、そしてしばしばスパイスなどの豊かで複雑なアロマを漂わせる。ブルゴーニュで最もタンニンが豊かなワイン。タンニンと円みのバランスが酒肉の厚さと堅固さを支えている」・・とのこと。(地図で見るブルゴーニュワイン 早川書房 より)
 
やはりタンニン豊かであったのはニュイの特徴だったのですね。 
なるほどなと納得。勉強になりました。
やはり実際飲んでみるとよく分かります。
百聞は一飲に如かず、です。
ごちそうさまでした!
 
 

日々のワイン記録 1 越後シャルドネ 2014

自宅で飲んだ1本。
焼き鳥と合わせましたがよく合いました。
和食全般と相性は良さそうですが、個人的な妄想マリアージュとして、金目鯛やのどぐろなど脂が乗った魚の干物が特によく合いそうです。
 
銘柄:越後シャルドネ (注1)
生産年:2014
生産者:アグリコア 越後ワイナリー
価格:2700円
 
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外観
澄んだ淡いグリーンがかったイエロー
冷涼な地域で生産された若いワインの印象。
 
香り
香りの強さは中程度、食べころにはまだ少し硬めの白桃の印象。
ヨーグルト、オーク樽の香りもあり、ミネラルも感じさせる。
 
味わい
第一印象は硬質でシャープ。
辛口。
酸は豊かでシャープな印象、渋みも適度にあり比較的骨格が感じられる。
果実味も感じられ、バランスは比較的良い。
少し雑味を感じるか?
 
アルコール度数 12.0%
最も美味しい温度:8〜9度 
 
日本のシャルドネらしい個性を感じました。
木樽で11ヶ月熟成。このワイナリーでは雪室に貯蔵される最大250トンの雪により貯蔵庫、熟成庫の温度を一年中一定にしているとのこと。
「雪が育む、雪が守る、雪が醸す」ワインなんだそうです。
新潟らしくて面白いですね。
 
注1:シャルドネ(Chardonnay)
世界中で最も人気のある高級白ブドウ品種。
コクがある。
品種独特の個性があまりないので、軽いものから重厚なものまで
様々なスタイルのワインが造られる。

 

日々勉強

そうはいっても・・
ワインは以前から好きではあったけれど、長いことよくわからないままでした。

2年前からスクールに通い、昨年秋にようやく日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートを取得したばかりです。
試験を受ける前には、エキスパートをとったら何でもわかるのかも、そこに立ったら何が見えるんだろう・・と思っていました。

しかし取得した今、わかったことは

「ワインの世界の入り口にまさに今立っただけ」

軽く呆然としました(笑)

この世界、自分の知らないことだらけ、といい歳をして改めて実感。

まだまだ学ぶことばかり。

けれど、これまでワインを通して多くの感動や喜び、幸せを見つけることができました。多くの方に多くのことを教えていただきました。
学びの途中ではあるけれど、これからは頂いたものを少しずつでも自分の外の世界に表現していくことにチャレンジしてみたいと思います。

それがほんの少しでも、必要な方への分かち合いとなり喜びのお手伝いになれば、幸いです。