アルトアディジェ、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の土着品種
ちょっと前のイタリアの講座について書いていた記事。
アップ寸前で止まっていたものを見つけました。
本当は毎回講義の度に書こうと思っていたんですけどね・・。あまりにも内容が濃厚で。とても書ききれなかったのです。
アップ寸前で止まっていたものを見つけました。
本当は毎回講義の度に書こうと思っていたんですけどね・・。あまりにも内容が濃厚で。とても書ききれなかったのです。
これはせっかく書きかけていたので備忘録も兼ねてアップいたします。
全然基礎やないやないかーい、といいたくなる奥深ーいイタリア基礎講座。
エキスパート試験でも聞いたことないワインやブドウも多々。
売れてるワインの裏事情や、売れてないけど頑張ってるワイナリーや産地について先生の熱い思いが溢れる話で毎回盛りだくさんです。
アルト・アディジェ、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリアはどちらも素晴らしいミネラル感を持つ白ワインを生産する地域。
これだけ覚えてくれればいいから、と言われるブドウの土着品種は既にマニアックでなかなか覚えきれませんが、それはさておいても知らない品種との新しい美味しい出会いにはワクワクします。
1番左のワイン
銘柄 Vitovska Carso DOC 2011
銘柄 Vitovska Carso DOC 2011
生産者 Castello di Rubbia
品種 Vitovska(ヴィトフスカ)
山吹色に近い濃い黄金色。
香りは比較的控えめだが、熟れたグレープフルーツやカシューナッツ、アーモンドの香り。
酸は高めで渋みも感じられる、辛口。
ボディがあり、塩っぽい、石っぽい硬いミネラル感。
先生曰く、香りに鉄分を感じるワインであり、このようなものはオマール海老が合うとのこと。また、カジキマグロなど脂ののった魚のソテーや白身肉などにも。
妄想だけで唾液腺が刺激されます。
このワインの生産地はカルスト土壌であり(銘柄に含まれるCarsoはカルスト土壌のこと)、硬い岩盤を削岩機で崩して畑を作る場所。
土壌の赤土由来のミネラル感、クリスピー感が特徴です。
ワイン自体は決して安くはない値段ですが、先生曰く、この値段は削岩機代。生産者を訪問すると醸造設備や畑よりもまずは「うちの削岩機」を自慢してくる土地柄。笑えるけどワイン造りの苦労がしのばれます。
左から2番目
銘柄 Friuli Colli Orientali 2015
生産者 Petrussa(ペトルッサ)
品種 Friulano (フリウラーノ)100%
色調は淡いグリーンイエロー。
香りは華やかで青リンゴやグレープフルーツ、ベルガモットなど。
ミネラル感やスモーキーさも感じられる。個人的にはソーヴィニヨンブランに通じる麝香的な香りもわずかに感じました。アロマとアルコールのアタックが印象的。
軽やかで瑞々しいフルーティさとしっかりしたミネラル感。
酸は中程度で、わずかな苦味もあり。
余韻は長く果実味、アルコール、ミネラルが中心となって長め。
ALC 14%
料理 生ハムやニジマス、フリッコ(チーズとジャガイモのおやき)
いい生ハムは繊細なので赤ワインを合わせると香りも味わいも打ち消されてしまう。
こんな白ワインが合う、との先生の説にしみじみ納得。
Petrussaはフリウラーノで最も洗練されたトップ生産者の一人。
左から4番目
銘柄 Ribolla Gialla 2014 IGP
生産者 Ronco Severo
生産者 Ronco Severo
品種 Ribolla Gialla
濃い黄金色
熟した白桃、ドライになりかけたパン
熟した白桃、ドライになりかけたパン
エニシダ、アカシアの蜂蜜、スモーキーな独特な香り
最初に塩味や苦みなどのミネラルを感じる。
左から5番目
銘柄 Lagodi Calclaro classico superior 2014
生産者 Manincor(マニンコール)
品種 Schiava(スキアーヴァ)
とても輝きのある淡い赤みがかったルビー
香り高く、熟度の高いフランボワーズなど赤いフルーツの香り。小さい赤い花の香りや、サラミなどのスパイシーな香りやタバコのスモーキーな香りもあり。複雑で豊かな香り。
銘柄 Lagodi Calclaro classico superior 2014
生産者 Manincor(マニンコール)
品種 Schiava(スキアーヴァ)
とても輝きのある淡い赤みがかったルビー
香り高く、熟度の高いフランボワーズなど赤いフルーツの香り。小さい赤い花の香りや、サラミなどのスパイシーな香りやタバコのスモーキーな香りもあり。複雑で豊かな香り。
透明感のある第一印象、やわらかな酸だがそれなりにしっかりしている、きめ細かくなめらかなタンニンがしっかり感じられる、石灰のようなミネラル感。辛口。
深すぎない軽いブルゴーニュグラスで飲むのが良いとのこと。
Schiavaはアルトアディジェの色の薄い品種だが、最近のエレガント志向により流行してきているらしい。
これは完全なるビオだけど、こんなにクリーンで美しいワインにできるんだなあ・・・と感服。ピノ・ノワールが好きな私としては、個人的にはすごく好み!
授業のテイスティングは唾液をしっかり出すためという名目でパン一切れは出るのですが、イタリアの楽しい豊かな食文化の話を聞きながら、食べ物なしにイタリアワインを飲むのって軽く拷問に近いです・・。
イタリアはローマやヴェネチア、フィレンツエなどメジャーな観光地にしか行ったことはないのですが、こうしてワインとともに現地の話を聞いていると、時間をかけて旅をしたくなります。
先生は以前イタリアのワイナリーツアーもやっていたそうなのですが、あまりにもスケジュール通りに進まず、コーディネートが大変すぎるのでやめたんだそうです。残念だけど、イタリアだから・・・仕方ないか・・。
元々はブルゴーニュワインの美味しさからワイン好きになったのですが、全く違う素晴らしさがイタリアワインにはあります。
気さくでおおらかで複雑で人間味があって、
好みはそれぞれあると思いますが、どちらも素敵な魅力に溢れています。
ワインと人間の歴史・文化の多様性にただただ感嘆するばかりです。