日々のワイン記録6 カルテット アンダーソンヴァレー ブリュット
銘柄:カルテット アンダーソンヴァレー ブリュット
生産者:ロデレール・エステート
国・産地:アメリカ、カリフォルニア州、メンドシーノカウンティ、アンダーソンヴァレー
生産年:NV
価格:3500円
ゴールデンウィークに実家に帰省し、地元の先輩のお宅にお呼ばれした際にお土産として持参した1本。
訪問前に立ち寄ったエノテカで、3本1万円のキャンペーン、3本のうち2本は3〜4000円台のワイン、残りの1本は7000円クラスのワインからも選べるというお得で嬉しいキャンペーンがあったため、そのうちの1本として購入してみました。
アンダーソン・ヴァレーはカリフォルニア州最北、最も冷涼な産地であるメンドシーノカウンティにある栽培地の一つ。
シャンパーニュで有名な生産者であるルイ・ロデレールがカリフォルニアで造るスパークリングワイン。
テイスティングメモを取れる状況ではなかったため、ちゃんとしたことは覚えていませんが(飲みすぎたせい?)とてもフルーティで厚みのあるふくよかな味わいでした。上品な酸もしっかりしていてバランスも取れています。この味わいでこの値段はなかなかコスパが良いのでは。財布が許すなら買いだめしたいところです。
余談ですが、シャンパングラスでなぜ泡が立つのか?という話。
ご存知の方にとっては当たり前のことかもしれませんが、
実はグラスの内壁が全く滑らかで埃が一つも付いていないと泡は立たないんだとか。
泡が立ちやすいようにシャンパングラスの底には傷がつけてあるんだそうです。
びっくり。
少し拍子抜けした気がしなくもないですが、まあそれはお門違いというものですね。
おかげで美しい泡が楽しめるわけですから。
日々のワイン記録5 リースリング Q.b.A トロッケン フリッツハーグ
品種:リースリング100%
生産者:フリッツハーグ
国・産地:ドイツ、モーゼル地方、ブラウネベルグ村
収穫年:2014
価格:2700円前後
蛇行するモーゼル川流域の斜面に半数以上のブドウ畑が存在します。
エゴン・ミュラーと並び称されるこの地方の有名生産者、かつドイツを代表する生産者の一人です。
時々転落して亡くなる人も出るという(!!)急斜面です。
わざわざなぜそんなところで栽培するのでしょう?
それはこの冷涼な地域でしっかりと成熟したブドウを造るための知恵です。
川は保温効果があるため周囲は比較的温かく保たれ、川からの光の反射も受けることができ、また斜面そのものが太陽の光を集めやすく、雪解けも早いのでブドウが成熟しやすいのです。
また、保温効果の高い黒いスレート(粘土岩)土壌が広がっていることもこの地域が銘醸地となっている所以でもあります。
一般的にはその品種を栽培可能な土地の中でも最も寒い場所が最も高品質なワインを生み出すといわれます。
ドイツは北緯47〜52度。その意味ではドイツリースリングはまさにそれに当てはまりますね。
今後、温暖化の影響でどう変化していくのか、気になるところではあります。
色調
澄んで輝きのあるやや濃い黄色。
香り
香り高く、フレッシュな白桃のような核種系フルーツ(注4)の香り。
その他、白い花の香りも豊か。ペトロール香(注5)もわずかにあり。
味わい
とてもシャープな酸が豊かで、引き締まって舌の脇がわずかにピリピリするほど。
わずかな甘みと少しオイリーな口当たり。
辛口、ALC11.5%
余韻
やや長めで心地よい余韻。酸味と果実味、わずかな甘みのバランスが良い。
我が家では中華風の夕食に合わせてみました。
以前は中華料理にはよくビールを飲んでいましたが、スパイスや油の刺激とビールの刺激と、のダブルパンチで食べ疲れすることも多かったです。
ワインを勉強し始めて、中華とワインをうまく合わせるととても優しく自然な組み合わせになるなあと新たな発見でした。
リースリング(中でも辛口)は和食にも相性が良く、食中酒として日本人には使い勝手のいいワインですね。
それにしてもこのワインはドイツのワインにしては名前も短めで比較的覚えやすいのでその意味でも大変ありがたいワインです(笑)。
注釈
注1 リースリング:白ブドウの品種名。冷涼な地域で栽培される。
注2 Q.b.A(クー・ベー・アー):ドイツワイン法で4つの格付けのうち2番目に高い格付け。
注3 トロッケン:「辛口」の意味
注4 核種系フルーツ:桃、アプリコット、など種の大きい果物。「stone fruits」とも言われる。
注5 ペトロール香:石油香とも言われ、キューピー人形のような香りと表現する人も多い。
リースリングに多い傾向にある。
日々のワイン記録4 ブルゲナーレーマーベルク リースリング カビネット ハルプトロッケン 2002
先日神戸でドイツワイン専門店「ローテローゼ」を初訪問。
リースリング好きの友人に連れて行ってもらいました。
お店もドイツの素朴な雰囲気です。
そこで見つけたこの1本。
この醸造所の保存蔵の奥の方に眠っていたものをローテローゼの買い付け担当の方が見つけて「お宝発見!」とばかりに購入してきたものだそうです。
紹介文にも「リースリング種のワインが熟成しピークを迎えた味わいはなかなか出会えるものではありません。蔵出しでしか味わえない完璧な管理下での熟成をお楽しみください。」
とのこと。
この売り言葉に惹かれた部分は否定できません・・。
単純ですがリースリング好きなので仕方ありませんね。
ラベルも優しい雰囲気です。
外観
濃い黄色
香り
香り高く、フレッシュな白桃や青りんごの香り。少し温まってくるとオレンジのような香りも。白い花、蜂蜜、ミネラル、ペトロール香も感じられる。
味わい
シャープな酸と優しい甘みのバランスが良い。ライトボディ。
余韻は長めで酸、甘み、果実味、複雑さなど感じられる。
15年前のものとは思えないほど果実味豊かでフレッシュさも感じられ、しかし熟成のニュアンスもあり、複雑な香りと味わいでした。リースリングが長期熟成向きであるということがよく表れているのだろうと感じました。
お店のお勧めの楽しみ方は「単独で楽しむ」
確かにかなり華奢で繊細な味わいですし、アルコール度数も10%なのでそれだけでも飲めますね。夜少し遅い時間にこのワインでゆったり癒されるのが良さそうです。
ラベルそのままの繊細で優しいワインでした。
しかし残念なことに、このリースリングを小瓶に保管して数日後に飲んだ時にはだいぶ香りが飛んでしまっていました。うう、悲しい。
開けた時に飲んでしまった方がいいパターンでしたね。
それにしてもドイツワインは名前が長いのがちょっと辛いところです・・・。
注釈
注1 リースリング:白ブドウの一つで高級品種。豊かな酸とピュアで透明感のある味わいが特徴。
注2 カビネット:ドイツワインの格付けランクの一つ。ドイツのワイン法における品質分類の中で最も高品質なワインであるプレディカーツワイン(といってもドイツワインの全体の96.2%を占める・・)を、さらにブドウ果汁の糖度によって6段階に格付したもののうち、最も糖度が低いランク。
注3 ハルプトロッケン(halb trocken):半辛口。辛口=trocken、半分=half(英語)=halb(ドイツ語)。残糖量4g/l以上12g/l以下
条件が変わるとワインの味はがらっと変わる
先日始まったブルゴーニュクラスでの講義後、クラス会にも参加してきました。
クラスでテイスティングしたワインをそのままレストランに持ち込んで、改めて料理と共にいただきます。
このシステムを知ったとき最初は「えっ、また同じものを飲むの?」
と思いましたが、実際にやってみてその理由がよくわかりました。
やはり無機質な教室内でテイスティングとして飲むのと、お店の素敵な雰囲気の中、素敵な料理とともに飲むのでは全く香りも味わいも異なります。
お店ではワインごとにグラスを多少アレンジしたり、デキャンタしたりするのでまた変わってくるのもあるのでしょうが、こんなにワインって飲み方によって変わるのか・・と驚きました。
せっかく飲むならその持てるポテンシャルを存分に発揮させないとそのワインも報われませんよね。これまでどれだけのワインをその実力を発揮させないまま飲んできたことか・・。成仏できないワイン達が泣いている気がします(汗)
まずは先生のセラーから持ち込んでいただいたシャンパーニュ(注1)2種類。
一つ目はフレッシュで軽やか、暑い季節に美味しく飲めそうな印象。
二つ目はブリオッシュの香りがありまろやか、ふくよか、コクのある味わい。
なんとこれは同じワインでも抜栓のタイミング違いでした。
一つ目は飲む直前の抜栓。
二つ目は5時間前に抜栓し、シャンパーニュストッパーで栓をしておいたもの。
あとは全く同じシャンパーニュ、「アンドレクルエ アンジュール ド 1911(ミルヌフサンオンズ)NV」
しかしまるで違う香りと味わい!
私は後者が好きでしたが、好みは人それぞれ。
どんなシチュエーションで飲むかにもよるかもしれません。
私はシャンパーニュは飲む直前に抜栓するものだと思い込んでいましたが、
先生曰く、目安として5年前のヴィンテージ(注2)なら5時間前、20年前のヴィンテージなら20時間前に抜栓した方が香り、味わいとも開くので良い、とのこと。
なるほど、勉強になります。
その後、クラスで飲んだワイン数種に加え、先生がプライベートのセラーから持参していただいた白2種の違いについてまたもや考える。
似ている、似ているけど違う・・。むむー。
これは同じワインの輸入経路違いでした。
一つはハンドキャリーでしたが、こちらの方がふくよかで果実味があると感じました。
輸入の過程でどのような管理をされているかによって大きく変わりはあるというけれど、こんなに違うんですね。
インポーターの管理とこだわりがいかに重要かが改めてわかりました。
しかし困るのは、時間が経つにつれ酔いが回ってくるのでしっかり感覚を研ぎ澄ませて頭を使ってテイスティングするのが困難になってくること。
美味しくいいワインばかりなので授業中でも吐器に出すのももったいなく(笑)、しっかり飲んでしまいましたから・・。
それにしても先生はこのように引っ掛け(サプライズ?)がお好きです(笑)
毎回まんまと騙されます。
ワインはこちら。
銘柄:アンドレ・クルエ アンジュール ド 1911(ミルヌフサンオンズ)
NV(注3)
品種:ピノ・ノワール(注4)100%
生産者:ドメーヌ アンドレ・クルエ
国・産地:フランス、シャンパーニュ地方
モンターニュ・ド・ランス地区(注5)、ブジー村
収穫年:NV
銘柄:シャサーニュモンラッシェ プルミエクリュ(注6) モルジョ(注7)
品種:シャルドネ(注8)100%
生産者:ドメーヌ ラモネ
国・産地:フランス ブルゴーニュ地方 コートドボーヌ地区
シャサーニュモンラッシェ村
収穫年:2013
しかしモルジョ、といえば受験の時にシャサーニュモンラッシェのプルミエクリュを覚えるための語呂合わせ
「シャサーニュでは、1つずつ丸いトロを、ジャンさんがしゃがんで盛るじょ」
のイメージしかない・・。
なぜかこの語呂はすごく映像としてリアルに浮かんでくるのです。
フランス人のジャンさんが丸いトロの寿司をしゃがんでちまちまとお皿に盛っている姿が・・。
注釈
注2 ヴィンテージ:ワインの生産年
注3 NV(Non vintage):シャンパーニュは一般的に品質保持やそのメーカーのスタイルの維持のために複数年のブドウから造られたワインを調合して造られる。そのような造り方のものは収穫年の表記の代わりにNVと記載される。
注5 モンターニュ・ド・ランス地区:シャンパーニュ地方の中で代表的な生産地区の一つ。この地区のシャンパーニュはピノ・ノワール主体で造られることが多い。世界遺産のランス大聖堂(歴代フランス王の戴冠式が行われた)やレオナールフジタ(藤田嗣治)のチャペル・フジタがある街、ランス周辺。
注6 プルミエクリュ:一級畑。特級畑につぐ良い畑とされる。
注7 モルジョ:畑の名前。シャサーニュモンラッシェ村にあるプルミエクリュの一つ。
注8 シャルドネ:白ブドウの品種の一つ。コクがある味わい。
ブルゴーニュワインのお勉強
この4月から半年間、ブルゴーニュワインについての講座を受けることにしました。
毎月1回、約2時間半の講義です。
これまで2年間ワインスクールに通っていますが、エキスパート受験も含め、総合的なクラスが主だったので、これから分野を絞ってさらに深い話を聴けるのが楽しみです。
私がワインの美味しさに目覚めるきっかけは大学生の時にワイン好きの叔母に飲ませてもらったブルゴーニュのワインでした。
残念ながら今となっては銘柄ははっきり覚えていませが、初めて飲んだ時の衝撃を今でも覚えています。
「何、この香り!!何この味!!」
後ろにひっくり返るんじゃないかと思うほどの衝撃・・
今まで飲んだことのない飲み物でした。
外観の美しさ、香りの華やかさ、複雑さ、絹のような舌触り、喉に流れていく感覚、果実感があっても決して甘くはなく、ふくよかで飲み込んだ後もいつまでも口の中に余韻が残っている・・。
今だからこういうところに驚いたのだとあの時を思い出して言葉にできますが、その時にはどこにどんなふうに驚いたか全く言語化できませんでした。
ただひたすら、世の中にはこんなに美味しいお酒があるのか・・天国とはまさにこのこと、と感動しきりでした。
その後1年に1〜2回、叔母のところに遊びに行くたびにワインを飲ませてもらい(残っている写真を見るとグランクリュも多かった)、毎回のけぞるような衝撃と感動を繰り返していたのですが、だんだん「美味しい!」としか言えないもどかしさを感じるようになっていきました。
こんなに感動しているのにただ「いい香り、美味しい」としか言えない・・・。
毎回違う味わい、違う香りなのに・・。
ワインスクールに通うきっかけの一つはその美味しさ、素晴らしさを表現できないもどかしさだったと思います。
どうやったら再現性を持ってあの美味しいワインに自分自身の力で辿り着けるのか?
そのような思いで、仕事がひと区切りついた時からワインスクールに通いだしました。
そんな、私がワインの世界に引き込まれる発端となったブルゴーニュワイン。
ひと口を大切にする 五感を働かせる
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自分が口にするものを大切にすることは、自分を大切にすること。
見て(視覚)
香って(嗅覚)
味わって(味覚・口の中の触覚)
時には聴いて(聴覚)
そのように五感を働かせて食事とお酒を楽しむことは人生の至福の一つ。
プロの料理は当然素晴らしく、五感を刺激され、時には芸術ですらあります。
けれどそれはプロのお店に行かなければ感じられないものではありません。
そして、ゆっくり丁寧に料理をする暇がなければ感じられないものでもありません。
仕事で帰宅が遅くなったとき、たとえ作り置きや出来合いのものでも、お気に入りの器に盛り付けて好きなお酒の1杯でもあれば、五感を働かせてそのひと口を大切にできるような気がします。
慌ただしい毎日の中、少しでもそのような時間が持てれば本当に幸せ。
そのような思いから、料理もワインもまだまだひよっこですが、果敢に、そしてマイペースにこつこつと追求していくつもりです。
忙しいとつい忘れがちになる初心だけど、いつでも帰ってこれるようにここに記しておこうと思います。
日々のワイン記録 3 サヴィニ・レ・ボーヌ エマニュエル・ルジェ 2013
先週末、神戸に遊びに行き、久々の友人たちと食事しました。
皆揃いも揃ってお酒も食事も大好きな人たち。
数えてみたら2日間で飲んだワインは15銘柄、日本酒は8銘柄・・。
いやいや、よく飲みました。
その中でも記憶に残るものを一つ。
場の雰囲気もあるのでメモを取るのは控えたのでざっくりとした記録ですが。
銘柄:サヴィニ・レ・ボーヌ (注1)
生産者:エマニュエル・ルジェ(注2)
生産年:2013
品種:ピノ・ノワール(注3)100%
抜栓直後はまだかたい印象。
1時間程度で徐々に開く。
バラ、熟したラズベリーなどチャーミングな印象。
シナモンなど甘いスパイスの香りも感じられる。
ピュアで豊かな果実味。
タンニンは滑らかで穏やか、バランス良くエレガント。
華やかで透明感のあるワインでした。
ピュアな味わいなのはエマニュエル・ルジェが除梗100%で造っているのもあるのでしょうか。
ワインは視覚的に美しいところも好きです。
見て(視覚)、香り(嗅覚)、味わい(味覚、触覚)・・と五感を働かせて楽しむことができるところがワインの魅力の一つですよね。
注釈
注1 サヴィニ・レ・ボーヌ:フランス、ブルゴーニュ地方のワイン銘醸地、コート・ド・ボーヌ地区にある村名。
注2 エマニュエル・ルジェ:「ブルゴーニュの神様」とも言われる生産者アンリ・ジャイエの甥で後継者の一人
注3 ピノ・ノワール:黒ぶどうの品種名。色が淡く、渋みが弱く、酸が高めであり、しなやかで芯のある官能的なワインができると言われる。
注4 除梗:ワインの醸造時、収穫したブドウを果粒と果粒がついている小さな枝に分けること(梗:ブドウの果粒がついている小さな枝)。梗の持つ不快な香りや味がワインにつくことを防ぐ目的で行われる。ピュアな味わいになりやすい。除梗100%とは完全に果粒だけでそのワインを造ったということ。